スーさんの山ある記

自身の山歩き人生を顧みる

2023年10月 八海山1778m

ゴジラの背中の様な稜線を縦走する

 最近では登りたい山を決めるのにテレビの山番組を見て参考にすることが多く、この八海山も例外ではない。40年も山をやっているとどうしても登りたい山が無くなってくる。会社を定年退職してからの5年間で日本アルプスの主な山は大体登ったし、この数年通い詰めた奥三河への集中登山も目途が付いた。自分の中では燃え尽き症候群になっている感じがする。只ここで山をやめてしまうのは簡単だが自分は他に趣味が無い。だから意地でも続けるしかないと思っている。とりあえず計画を立ててしまえば、それに従って身体が動く。

 そんな訳で遙々静岡県から新潟県南魚沼市まで一人で車を運転してやって来た。今回何日も滞在する予定で来たので、初日は付近の観光と休養に充て翌日の登山に備えて心と身体を整えた。

             登山前日八海神社を参拝する

         八海山ロープウェイ山麓

                          麓から見る八海山

八海山ロープウェイ山頂駅~女人堂~薬師岳~千本檜小屋~(八ッ峰縦走コース)~入道岳~(迂回路)~千本檜小屋~薬師岳~女人堂~八海山ロープウェイ山頂駅

 登山当日始発のロープウェイに乗る。他にも二人の登山者が載っていた。山頂駅の展望台には寄らずすぐに出発した。今回一番奥の入道岳まで行くのでコースタイムを考えると帰りのロープウェイの最終時刻ギリギリになりそうだ。とりあえず帰りに時間があったらゆっくりしようとひたすら歩く。薬師岳の登りが思った以上にきつい。登り切って少し休憩にした。

 千本檜小屋を過ぎ八ッ峰の縦走は緊張はするが鎖がしっかり掛けられているので安心感はある。思ったよりも早く通過できた。大日岳の長い鎖場を下り今回の目的地八海山最高峰の入道岳をめざして笹原の道を歩く。入道岳の山頂には誰も居なかった。ここに来る間も殆ど人には会わなかった。目のまえの越後駒ヶ岳と中ノ岳が巨大で堂々としている。暫くはぼんやりと景色に見入っていた。

 帰りは大日岳手前の分岐から迂回路に入るが此方のコースの方が厄介だった。急な梯子を幾つも下るが、その梯子の足場の部分が土に埋もれて掴むところが無い。両サイドの支柱を持って慎重に降りる。梯子を下りきるとトラバース道の一部は道幅が狭く鎖、ロープ等は付いていない。しかも谷側は切れ落ちている。自分としてはこの区間は上の稜線を歩く方が安全な気がした。(地図にも記載しておいた。)

 迂回路もこの2ヶ所を過ぎれば所々鎖場はあるものの比較的歩き易い道が続く。稜線の道と合流して千本檜小屋まで来ればあとは来た道を戻るだけとなる。満足感と余韻に浸りながら下るが時計を見るとロープウェイの時間が心配になってきた。平坦な木道に降りてからは殆んど駆け足に近い状態で歩いたが、それでも10分ほど遅れ最終ロープウェイは出た後だった。

 またここから林道を2時間歩くのかと少しがっかりしたが、運よくまだ社員の方が残っていて軽トラに乗せてもらって降りることが出来た。このコースは意外と時間が掛かるのでたまに乗り遅れる人が居るらしい。また迂回路も道幅が狭く危ない等と話していた。あれこれと会話しながら急な林道を軽トラで下り山麓駅の駐車所に着いた。社員の方にはお礼を言ってここで別れた。自分はいつもこうして助けられることが多い。

 今回の登山も無事終了した。明日もう一日予備日を取っておいたので此方でゆっくりしてから帰るつもりだ。今は現役時代と違って休みは沢山ある。もう余裕のない計画を組まなくていい。それにしても一つの山に登るためにわざわざ静岡から新潟まで一人で来るとは余程物好きだと思うが、同時に思い込んだらそこまでできる自身の行動力にも感心する。 

             出典:昭文社山と高原地図

 山頂駅前の鳥居  女人堂から見る薬師岳

       薬師岳山頂       薬師岳から見る千本檜小屋

    二番目のピーク不動岳     白川岳、後ろは摩利支天

 迂回路への分岐

 大日岳山頂

                      八海山の最高峰、入道岳山頂

             中ノ岳                越後駒ヶ岳         

                迂回路から摩利支天、剣ヶ峰を見上げる