スーさんの山ある記

自身の山歩き人生を顧みる

2024年8月 富士山自然休養林

苔むした原生林と巨大な宝永火口

水ヶ塚公園~二合五勺御殿庭下~三合目御殿庭中~第二火口縁~第一火口縁~第二火口縁~富士宮口五合目

 富士山静岡県側の二合目から六合目にかけての一帯は富士山自然休養林と呼ばれ、その中を何本ものハイキングコースが通っている。その起点となるのは主に水ヶ塚、西臼塚、御殿場口五合目でいずれも広い駐車場が完備されている。山頂を目指す富士登山とは違い季節に関係なく自分の体力、目的に応じて自由にコース計画を組めるのが嬉しい。

 自分は過去に富士山は3回登っていて一度は富士吉田の浅間神社から登っているので最近はあまり山頂にはこだわらない。前回は精進口登山道から御中道を歩いたが、他にも面白そうなコースはないかと地図を見ていてここに目が留まった。現在サラリーマンを引退して専業主夫をしているがその家事は妻に任せて富士山にやってきた。

 今回のコースは水ヶ塚から宝永第一火口縁まで登り富士宮口五合目を終点にした。出発前の数日間は天気予報とにらめっこをしながら日程を決めた。登山当日もそれ程期待できる予報ではなかったが、水ヶ塚についた時には雲も取れ富士山が顔を出した。ここに来るのは子供が小さいころに雪遊びで来た時以来だから30年くらい前になる。その時は何も無かったが今は綺麗に整備された。

 登山口は富士山スカイラインを挟んで向かい側になる。この付近は苔むした深い原生林でこれが四合目付近まで続く。熊の出没情報もあるので鈴を鳴らしながら歩く。天候は再び雲に覆われ蒸し暑い空気に包まれる。今回は登る前から夏バテ気味で体調は優れず途中何度も引き返そうかと考えたが、それでも我慢して登るうちに少しづつ体も慣れ楽になってきた。40年も山をやっているとそういう体になってくるのだろうか。確かに山を歩いていると体が喜んでいると感じる時がある。

 四合目付近まで来ると視界も開け宝永山が顔を覗かせた。眼下の宝永第二火口は巨大で蟻地獄の様に深い。ここから最後の力を振り絞って第一火口縁を目指す。足元は滑りやすい砂礫の道となり雪山のキックステップを思い出しながら歩く。ここで初めて上から降りてくる登山者と会った。

 第一火口縁には数人の登山者がいて少し会話をしながら休憩した。ここまでで標高差千メートル程登った。もうこれ以上登ることはない。霧が深く第一火口が見えたり隠れたりしている。あとは富士宮口五合目を目指すのみ。六合目の山小屋を経由する道は歩いたことがあるので、今登ってきた道を少し下り分岐を右に曲がる。再び樹林帯の道となり30分程で五合目に着いた。

 五合目は霧に包まれ展望は無い。お盆過ぎの平日ということもあり閑散としている。それでもバス乗り場には数十人の登山者が並んでいた。自分も乗車券を買い列に並んだ。リュックを降すと達成感と疲労感の入り混じった感覚が押し寄せてきた。山では終わった時のこの感覚が一番心地よい。バスが発車して高度を下げると雲が厚くなり雨が車窓を打ちつけてきた。また来月山に行こう。その前に今回撮った写真の編集とブログを書かねば。

出典:昭文社山と高原地図」、富士山自然休養林ハイキングマップ

              水ヶ塚から見る富士山

              富士山自然休養林の入り口

              苔むした深い原生林が続く

                          宝永第二火口

           正面は宝永山

       第一火口縁

                    宝永山と第一火口

                    富士宮口五合目への道

               富士宮口五合目に着く