スーさんの山ある記

自身の山歩き人生を顧みる

1991年8月 中央アルプス(木曾駒ヶ岳2956m~空木岳2864m)

中央アルプスの核心部を縦走する

1日目 千畳敷~乗越浄土~中岳~駒ヶ岳~中岳~宝剣山荘

2日目 宝剣山荘~宝剣岳~檜尾岳~熊沢岳~木曽殿山荘

3日目 木曾殿山荘~空木岳~菅ノ台

 今年の夏山は何処に行こうか決めかねていた時、会員のOから中央アルプス縦走のお誘いが来たので思い切って便乗することにした。中央アルプスと言えば駒ヶ岳と宝剣岳しか登ってないので、このコースはいつかは歩きたいと思っていた。メンバーは他に会員のMとOの婚約者(名前を忘れたので仮にAさんとする)の4名だ。只一つ心配なことがあった。今回のコースはかなり健脚向きだがAさんは登山経験が殆ど無い。唯一それが気になっていた。

 初日はバスとロープウェイで千畳敷まで上がるので特に問題はない。乗越浄土までのお花畑と快適な稜線歩きで夏山の雰囲気を満喫した。2日目は宝剣岳の岩場の通過とその後はアップダウンの多い長い稜線歩きが待っている。天気は快晴だが、やはり心配なことが起きた。Aさんが宝剣岳の岩場で恐怖心から動けなくなり、此方でアドバイスをしながらやっとのことで通過できた。その後の稜線歩きも大夫きつそうで最終的には疲労と捻挫で歩けなくなり、皆で肩を貸しながらやっとのことでその日の目的地の山小屋にたどり着いた。到着した時は既に日が暮れていて山小屋のスタッフにも心配をかけた。3日目は空木岳に登った後長い尾根を下って駒ヶ根に降りる予定だったが、Aさんの体調は回復せず結局山小屋からヘリコプターを呼んでもらい病院に搬送された。残りの我々3名は歩いて下山後病院にAさんを迎えに行った。検査の結果Aさんは高山病にも掛かっていたことが判明した。

 今回は今後の活動に課題を残す反省点の多い登山となってしまった。一番の問題点はこの計画を発案したOに全てを任せきりにして、計画の段階で自身が何のアドバイスもしなかったこと。人の計画に乗っかるのはいいがメンバー全員の体力技量が充分かなど真剣に考える必要があった。幸いにも3日間天気には恵まれたが、もし悪天候ならば遭難に繫がる悲惨な結果になっていたかもしれない。また今回は県警のヘリが空いていたが出払っていた場合は民間のヘリを呼ぶため30万円程費用が掛かると言われた。その際の費用の分担はどうするかなども課題となった。いずれにせよ最悪の結果にはならなかったことに感謝した。

 注ーこの時自身のカメラで写真を撮っていたが家中捜しても見当たらず、ネガも残っていないのが残念だし不思議だ。

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