2018年8月　越百山2613ｍ、南駒ヶ岳2841ｍ

登山者の少ない花崗岩とハイマツの美しいコースを歩く

　中央アルプスは一年を通じて駒ヶ根からロープウェイで入るが多い。そのため登山者の多くは駒ヶ岳と宝剣岳に集中している。中には空木岳まで縦走する人もいるが、更にその南にあるこの２座になると登山者も数えるほどになる。この２座を目指すには西側の大桑村から入るのが最短だが、途中にある越百小屋は収容人数が少ないため希望した日に泊まれるかどうか分からない。

　今回私も収容人数の関係で予定が伸び、前述した木曾駒ヶ岳、白山に続き今年の３回めの夏山としてここにやって来た。前日に自宅を出発し道の駅大桑の駐車場で車中泊した。国道沿いとはいえ夜になると交通量は少なく静かな夜を過ごした。

１日目　駐車場～登山口～御嶽山見晴台～越百小屋

　朝道の駅を出発し伊那川渓谷の上流にある登山者用の駐車場に着いた。広い駐車場だが停まっているのはバイクが１台のみだった。

　ここから本日宿泊する越百小屋までは標高差で1400ｍ程ある。休憩を入れて５～６時間と予想した。まずは最初に１時間の林道歩きのあと登山口に着く。登山道に入ってしばらくは下草が多く歩き辛かったが、それも最初だけで尾根に上がってからは道もしっかりして歩きやすくなった。あとはひたすら樹林帯の尾根道を歩き小屋に着いた。

　小屋はこじんまりとしたアットホームな山小屋で夫婦で経営されている。私が行った時にはその御孫さんで小学生の女の子が夏休みを利用して手伝いに来ていた。本日宿泊者は私を含めて二人だけだった。　

　　　　　　　　　　駐車場から空木南駒方面入口

越百山経由の登山道入り口　　　　　　　　　　　赤色のよく目立つ越百小屋

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小屋前から南駒ヶ岳を望む

２日目　越百小屋～越百山～仙涯嶺～南駒ヶ岳～仙涯嶺～越百山～越百小屋

　小屋を出発し暫く登ると展望も開けてくる。越百小屋の赤い色は遠くからでもよく目立つ。これは山を縦走して降りてきた人にとっては励みになるだろう。越百山には一登りで着いた。本日は天気も良い。シャッターを押す回数が増える。これから向かう仙涯嶺と南駒ヶ岳も良く見える。この稜線は花崗岩の白とハイマツの緑の対比が美しい。仙涯嶺は花崗岩の積み重なった岩場で少し緊張する。中央アルプスでは宝剣岳に次ぐ難所だとされている。

　南駒ヶ岳山頂に着くころには小雨交じりの天気となった。ここだけ雲の中に入ってしまったようだ。先程越百山で展望は充分楽しんだし、今回の目標を達成した満足感は変わることはない。ここまでくれば空木岳も近く計画する時に金沢土場に降りる周回コースも考えたが、空木岳は登った事もあるし今回は南駒ヶ岳を主役の最終目的地にしたいという考えがあった。

　昔、作家の深田久弥が百名山を選定する際、空木岳と南駒ヶ岳のどちらを百名山にするかで悩んだ末、標高で勝る空木岳を選んだという説がある。それだけこの２座は甲乙つけがたい名山だという事だろう。

　帰りは稜線全体が雲に覆われ雨具を着たり脱いだりの繰り返しとなった。小屋に着くと５～６人の登山者が小屋の外で休憩していた。先程下から来て明日南駒ヶ岳に登り北沢尾根を下るらしい。なかなかの健脚者だ。

　夕食の時小屋の主人の友人が一升瓶を持って登って来て酒盛りをしていた。毎年この時期に登ってくるそうだ。今日は賑やかな夕食になった。寝るときは隣の人のいびきが気になって頭と足を逆にして寝た。　